血液検査でMCVやMCH、MCHCを見たことはあるでしょうか?

赤血球数の検査項目であるRBCとセットで検査されることが多く、色々な種類がある貧血の中でもどのタイプの貧血なのかを診断する検査なのです。

 

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血液検査のMCV、MCH、MCHCって何?

赤血球

 

いまいちピンとこないかもしれませんが、これら3つの数値を出して赤血球の状態を判断します。

MCV、MCH、MCHCそれぞれの意味

基準値は病院によって若干誤差はありますが、大体以下のようになっています。

MCV(平均赤血球容積)

赤血球の平均的な大きさのことで、基準値はMCV:80~98fl。

単位はフェムトリットルと読み、1000兆分の1Lをあらわします。

基準値内だと「正球性」、高いと「大球性」、低いと「小球性」になります。

「大球性」は赤血球が平均的に大きく、「小球性」は小さいという意味です。

 

MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)

赤血球1個あたりに含まれる、ヘモグロビンの平均的な量のことで、基準値はMCH:28~32pg。

単位はピコグラムと読み、1兆分の1gをあらわします。

基準値内が「正色素性」、高いと「高色素性」、低いと「低色素性」となります。

「高色素性」はヘモグロビン量が多いことを示し、「低色素性」は少ないということです。

 

MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)

平均的な大きさの1個の赤血球の容積に対する、ヘモグロビンの平均濃度のこと。

上2つのMCVとMCHCから算出された数値で、基準値はMCHC:30~36%です。

 

 

貧血の種類

血

 

ヘモグロビンというのは、赤血球の中に含まれる酸素と結合するタンパク質のことです。

細かくいうと、「ヘム」という色素と「グロビン」というタンパク質からできています。

このヘモグロビンが減ると、酸素が体中に行き渡らないので貧血になってしまうのです。

ヘモグロビンの基準値

ヘモグロビンの基準は、男女で違います。

 

  • 男性:13.1~16.6g/dL
  • 女性:12.1~14.6g/dL

 

ヘモグロビンの量や濃度と、赤血球自体の大きさを比較することにより、貧血は大きく3つに分けられます。

 

 
MCV
MCH
MCHC
分類
貧血の種類
小さい低い低い小球正低色素性貧血鉄欠乏性貧血など
正常値正常値正常値正球性正色素性貧血再生不良性貧血など
大きい高い正常値大球性高色素性貧血悪性貧血など

 

 

MCV(小さい)、MCH(低い)、MCHC(低い)

3つに分類された貧血の中でも、最も多いのが①の小球性低色素性貧血です。

赤血球が小さくなり、全体のヘモグロビン濃度が下がっている状態。

小球性低色素性貧血になるのは、鉄の供給・需要・喪失のバランスが崩れてしまうことが原因です。

 

  • 食生活やダイエットによる、鉄の摂取不足
  • 成長期や妊娠により、鉄の需要が増えた状態
  • 出血が原因で、鉄が喪失して量が減った状態

 

バランスが崩れると、体は肝臓や脾臓で貯蔵している鉄で補おうとしますが、徐々に鉄欠乏状態になり赤血球が小さくなっていきます。

症状としては、動悸や息切れ、顔面蒼白や立ちくらみ、脱毛、肌の乾燥などがあります。

小球性低色素性貧血は鉄を補給することで改善されるので、鉄の多い食材を摂るように心がけましょう。

食品だけで補給が追いつかない場合は、サプリメントや経口薬もあります。

 

MCV(正常)、MCH(正常)、MCHC(正常)

②の正球性正色素性貧血です。

一つ一つの赤血球中のヘモグロビン濃度は正常なのに、赤血球の数自体が減っている状態。

骨髄には血液を作る「造血幹細胞」という細胞があります。

造血幹細胞が減少するので赤血球や、その他の白血球や血小板といった血液中の細胞も作られず減少します。

 

そうすると免疫力が低下してしまい、体は一気に弱ってしまいます。

症状としては動悸や息切れ、頭痛や顔面蒼白といった貧血症状に加え、白血球や血小板の減少によって出血しやすくなったり、アザができやすくなることも。

治療は重症度合いによって異なってきますが、輸血やステロイドの投与であったり、造血幹細胞の移植が必要になることもあります。

 

MCV(大きい)、MCH(高い)、MCHC(正常)

③は大球性正色素性貧血。

悪性貧血と同じで赤血球が大きくなり、全体のヘモグロビン量が増えている状態。

胃粘膜の萎縮のためビタミンBが吸収されなくなり、欠乏することが原因です。

 

ビタミンB12は赤血球を産生するのに必要な栄養素なので、欠乏すると赤血球が作られなくなります。

症状としては舌の炎症や胃の炎症による痛みがありますが、ビタミンB12を補給することで改善されます。

しかし悪性貧血の怖いところは胃粘膜が萎縮しているということなので、胃がんを起こしやすいということです。

逆に胃がんで胃を摘出した後、悪性貧血になり、ビタミンB12の吸収が悪くなってしまうこともあります。

 

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さいごに

貧血の中でも鉄欠乏性貧血が最も多いとお伝えしましたが、女性が圧倒的に多いです。

女性はもともとの赤血球数やヘモグロビンの濃度が低いのと、貧血になりやすく、5人に1人は貧血傾向にあります。

そのうえダイエットなどで栄養不足の状態を作り、貧血を誘発してしまっています。

男性でももちろん鉄欠乏性貧血もありますが、男性の場合は消化管や内部臓器からの出血により貧血を起こしている可能性が高いので、要注意です。

女性でも貧血かなと自己判断せず、しっかり原因を突き止めて治療することが大切です。

 

監修臨床検査技師

内田 佑介

臨床検査技師取得後、製薬業界にてデータマネージャーとして勤務。治験の臨床検査値を数多くチェックする経歴を持つ。現在は医療系ライターとして活躍している。

 

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