ヒトパピローマウイルスは、子宮頸がんの原因となるウイルスです。

子宮頸がんは女性にしか感染しないように思えますが、実は男性でも感染しています。

ヒトパピローマウイルスの感染経路や潜伏期間、男女が注意しなくてはいけないことについて見ていきましょう。

 

 

ヒトパピローマウイルスとは

 

ヒトパピローマウイルス(Human Papilloma Virus)は、頭文字を取って「HPV」とも呼ばれ、子宮頸がんの原因になることで有名なウイルスです。

全部で100種類以上ありますが、ウイルス自体はどこにでもいるありふれたもので、15種類が発がん性ウイルスとなっています。

子宮頸がんの原因となるのは「ハイリスク型HPV」と呼ばれるもので、16型や18型になります。

ヒトパピローマウイルスの感染経路

HPVはほとんどが性交渉で感染します。

皮膚や粘膜が触れることによる接触感染で、性交渉を1回でも経験していれば感染している可能性があります。

女性は80%の人が何らかのHPVに感染した経験があるとされ、男性でも60%が感染経験ありとのデータがあります。

感染経路が性交渉なので、コンドームの使用が感染予防には有効ですが、100%防ぐことはできません。

 

ヒトパピローマウイルスが癌化する要素

女性の感染率が高いHPVですが、感染しても必ず子宮頸がんになるわけではなく、潜伏期間も良く分かっていません。

感染した人の90%以上は、免疫力でウイルスを自然に排除しています。

ただし持続的に感染し、体内に残っていると数年~10年ほどで癌化するリスクが高まるといわれ、人によって期間も違います。

癌化するには以下のような要素が関わってきます。

 

  • 長期的にHPVに感染し続けている
  • 喫煙
  • 分娩による子宮頸部の損傷
  • 免疫力低下

 

子宮頸がんは早期発見・治療で、子宮を摘出しなくても済む確率が高くなるので、定期検診が重要になってきます。

 

 

 

男性が感染するとどうなる?

 

海外の調査ですが、男性でも60%の人が何らかのHPVに感染しているとのデータがあります。

感染経路

女性の場合、性交渉で男性から感染することが多くなっていますが、男性の場合はどうでしょうか。

男性も同じく、HPVに感染した人との性交渉が原因となっています。

感染した女性からうつることもありますが、男性が持っていたウイルスが女性にうつり、再び返ってくるということもあります。

女性は子宮頚部への感染となりますが、男性の場合は陰茎や陰嚢、肛門周辺や尿道などに感染するケースが多くなっています。

 

感染するとどうなるの?

男性がHPVに感染したからと言って、子宮頸がんになることはないですよね。

男性の場合、一番多いのは尖圭コンジローマという性器にイボが出来る疾患です。

これは子宮頸がんの原因になるハイリスク型HPVではなく、ローリスク型HPVというウイルスに感染するためです。

また稀に、肛門がんや陰茎ガンを発症してしまうこともあるので注意は必要です。

 

検査は必要?

女性では子宮頸がんの定期健診が重要になってきますが、男性は検査方法が確立していません。

男性の場合、陰茎や陰嚢、尿道など、どこに感染しているのかを特定することが難しく、検査方法がまだ研究段階なのです。

ただし肛門がんや陰茎ガンになる確率は低いので、そこまで心配しなくても大丈夫でしょう。

それよりも子宮頸がんを発症するかもしれない、奥さんや彼女さんのために定期健診をすすめたり、サポートしてあげる方が大切です。

 

 

 

女性が感染するとどうなるの?

 

女性がハイリスク型HPVに持続的に感染していると、「子宮頸がん」を発症するリスクが高くなります。

子宮頸がんは20代後半~30代の女性に多く見られます。

女性のがんの中では、乳がんに次いで2番目に多いがんとなっており、進行すると子宮全摘出となる恐ろしい病気です。

子宮頸部とは?

子宮頸部は子宮の入り口、膣に近いところにあり、膣側の「扁平上皮」と、子宮側の「円柱上皮」に分けられます。

子宮頸がんになるのは、2つの上皮の境目であるSCJと呼ばれる部分の周辺が多くなっています。

子宮頸がんは大きく分けて2種類あり、扁平上皮細胞にできる「扁平上皮がん」、円柱上皮細胞(腺細胞)にできる「腺がん」があります。

多いのは扁平上皮がんとなっていますが、近年では腺がんの割合も増えてきました。

腺がんは発見がしづらく、治療も難しくなってしまうので一層の注意が必要です。

 

子宮頸がんの症状

子宮頸がんの初期は、自覚症状がありませんが、少し進行すると性交渉をした時の不正出血が見られます。

この段階で見つけられれば、子宮を摘出しなくても済む場合が多くなっています。

以下のような症状があればすぐに病院を受診して下さい。

 

  • 月経時以外の出血
  • 茶褐色・黒褐色のおりものがふえる
  • 下腹部や腰の痛み
  • 性交中の痛み

 

 

ステージごとの治療

医者

上皮内がん(初期)

がん細胞が上皮の表面上のみに留まっている「上皮内がん」の段階で治療できれば、ほぼ100%治すことが可能です。

初期のがんは浅く転移もない状態で、子宮を摘出せずに組織の切除だけで済むため、妊娠や出産も可能です。

治療は「円錐切除手術」といって、がん細胞ごと、子宮頸部の一部を円錐状に切り取ります。

レーザーや電気メスで行われる30分程度の手術のため、日帰りか1~3日ほどの入院で終わります。

妊娠や出産は十分可能ですが、早産や流産、帝王切開のリスクが高まるということは理解しておく必要があります。

 

浸潤がん

がん細胞が上皮の奥、間質細胞という部分にまで入り込むと「浸潤癌」と呼ばれ、子宮の摘出が必要になります。

子宮を摘出するということで、その後の自然妊娠や出産はできなくなります。

上皮内がんの円錐切除手術よりも治る確率が高く、後遺症もほとんど見られないことが特徴です。

入院は7~10日で、手術時間は1~2時間となっています。

 

転移が見られる場合

がんが進行すると、子宮周囲の膀胱や直腸などへの転移が考えられます。

肺などへ遠隔転移した場合は、命の危険にさらされます。

転移が見られる場合は、卵巣や膣の一部を子宮と共に切除する必要性が出てきます。

 

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定期検査が大切!

子宮頸がんワクチンで予防できる?

HPVの中で、子宮頸がんの原因となるハイリスク型HPV(16型・18型)を予防するワクチンは存在します。

性交渉をする前の、10代のうちにワクチン接種することで、感染を予防する効果が期待できるというもの。

「子宮頸がんワクチン」という言葉をニュースなどで耳にしたことのある人も多いのではないでしょうか。

 

痙攣を始めとした重篤な副作用で問題となり、現在は国からの接種の推奨がストップしています。

ただし推奨がストップしているというだけで、ワクチン接種自体は本人の希望で受けることができます。

受けたいという方は、リスクをしっかりと理解してから受けるようにしてください。

 

定期健診を受けよう

HPVに感染してから子宮頸がんを発症するまでには5~10年という長い年月がかかるため、2年に1度のペースで定期的に検診を受ける必要があります。

まだ一度も婦人科に行ったことのない人だと、子宮頸がんの検査はどのようなものなのか不安になる方も多いですよね。

まずは、どのような検査になるのか見ていきましょう。

問診

問診では、初潮年齢や妊娠、出産の経験、生理周期などを聞かれます。

また、不正出血や下腹部の痛みなどの自覚症状があれば、些細な事でもこの時に伝えるようにしましょう。

 

内診

問診が終わって内診台に上がりますが、実際に検診をしている時間は1~2分なので、すぐに終わります。

ゆったりしたスカートなどを履いていくと、スムーズに終わらせることができそうですね。

膣鏡で子宮頸部の状態を目で見て確認し、指を入れて子宮の形や大きさなどの確認を行います。

 

細胞診

最後に子宮頸部の細胞を採取して、がん細胞がないかどうかの検査を行います。

柔らかいブラシのようなもので粘膜をなでるようにして採取するので、出来るだけ力を抜いて、リラックスして臨みましょう。

検査は世界的に採用されているベセスダシステム方式で、レベルを5段階で表したものが2週間ほどで出ます。

 

定期健診の重要性

子宮頸がんワクチンの接種や、避妊具を使っても100%感染を予防することはできないHPV。

女性がハイリスク型HPVに繰り返し感染していると、子宮頸がんへのリスクも高まり、発見や治療が遅れれば子宮摘出も免れません。

定期健診は一般的には、市区町村で行っているがん検診か、職場での定期健診で受ける形となるでしょう。

婦人科や人間ドッグでも個人的に受けることが可能なので、気になる方は問い合わせてみてください。

 

また自分で子宮頸部の細胞をとって、HPVと子宮頸がんの両方を調べることのできるキットもあります。

時間がない方や、恥ずかしくて病院で検査をするのを躊躇している方は、こちらも考えてみて下さい。

妊娠、出産といった女性にとって大切な時間を失わないためにも、定期的な検診を受けることはとても大切です。

 

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【参考】
厚生労働省「ヒトパピローマウイルス感染症とは」
国立がん研究センターがん対策情報センターがん情報サービス「子宮頸がん」