パニック障害や強迫性障害などは心の病気だと思われがちですが、本当の原因は脳にあると言われています。

これらの病気に対して、効果が期待されているのがイノシトール。

あまり聞きなれない名前かもしれませんが、オレンジやスイカといった果物から手軽に摂取することができるんです。

イノシトールってどんな栄養素なのでしょう。気になる効果について詳しく見ていきたいと思います。

 

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イノシトールって何?

はてな

 

イノシトールはイノシットと呼ばれることもある成分で、その正体は「糖アルコール」です。

オレンジやスイカといった果物、それに穀物などから摂取することができますが、私たちの体内でもブドウ糖(グルコース)をもとにして作ることができる成分で、筋肉や神経細胞に存在しています。

ただし体内で十分な量が作れるわけでもないので、食事から摂取する必要性もあるとされています。

ビタミン様物質

イノシトールの正体は糖アルコールですが、一般的には「ビタミン様物質」と呼ばれています。

ビタミンとよく似た働きを持っていたり、ビタミンをサポートする役割を持っていたりと、私たちが生きていく上で必要な成分で、以前はビタミンB群の仲間として扱われていました。

体内で生成することができますが、欠乏症があるとも断言できないので“ビタミン”とは言わず、「ビタミン様物質」となったのです。

イノシトールは、欠乏症と同じように過剰症についても特に問題はないとされていますが、サプリメントから摂取する場合には少し注意したほうが良いでしょう。

ミオイノシトール

イノシトールは構造の違いから9種類の異性体、つまりは同じ仲間のものがあります。

その中でイノシトールとしての効果があるとされるのは、筋肉に多く存在する「ミオイノシトール」です。

なので、イノシトールというのはミオイノシトールのことだと考えても大丈夫でしょう。

私たちの筋肉や神経細胞に多くあり、イノシトールやイノシトールリン酸という形となっています。

またイノシトールは果物や穀物といった植物中にも存在していて、その際はイノシトール、またはリン酸エステル体(フィチン酸)という形になっています。

 

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イノシトールの効果・効能

医者

 

まずは、効果があると科学的データにより示唆されているものから見ていきましょう。

パニック症候群(パニック障害)

急に強い不安感に襲われるパニック発作。

動悸や息苦しさ、震え、発汗、めまいなどから「死んでしまうのではないか」と思い、救急車を呼ぶ人も多いです。

しかし発作は数分~数十分で治まってしまうため、病院に着く頃には何もなく、検査をしても異常なし。

これを繰り返すうちに、「また発作が起こるのではないか」という予期不安、「みんなの前で発作が起こったらどうしよう」という広場恐怖症が起こるのも特徴です。

 

パニック発作の原因について詳しいことは分かっていませんが、脳内でノルアドレナリンやセロトニンといった神経伝達物質が異常を起こしているとの意見が有力です。

イノシトールは神経細胞の中に存在していて、神経の伝達を正常にする働きがあるとされています。

海外のデータでは、イノシトールを1日12~18g摂取することで、パニック発作や広場恐怖症の重症度、発作の頻度などをコントロールできると言われています。

イノシトールの摂取は、治療薬と同じくらい効果があるとする研究もあり、パニック症候群に悩む人への朗報も期待できそうですね。

 

強迫神経症(強迫性障害)

たとえば、意味がないと分かっていながら何度も何度も手を洗ってしまう。

強迫神経症の症状は人によって様々ですが、強迫観念や強迫行為といった特徴があります。

「誰かを傷つけてしまうのではないか」「汚染されているのではないか」「安全が不十分なのではないか」といった不安や不快な思いに固執してしまい、意味のない行動だと自分でも分かっているけれど、やめられなくなる。

強迫神経症の原因は脳の障害、神経の伝達異常、それに几帳面な性格であることなどが挙げられます。

研究データでは、イノシトール1日18gを6か月にわたって摂取することで、強迫神経症の症状が改善したというものもあります。

 

多のう胞性卵巣症候群

若い女性に多い排卵障害で、不妊の原因ともなる多のう胞性卵巣症候群。

男性ホルモンが増えてしまうことが原因で、生理周期が35日以上になったり、月経不順や無月経になったり、肥満やにきび、毛深さなどの自覚症状があります。

多のう胞性卵巣症候群におけるイノシトールの効果は、9種類ある異性体のうちの一つ「キロイノシトール(D-chiro-イノシトール)」という特殊な形での効果となりますが、研究データで示唆されています。

キロイノシトールを1日1200mg摂取することで、トリグリセリド(中性脂肪)とテストステロン(男性ホルモン)、そして血圧が低下し、排卵が促進されると言われています。

 

その他の効果

ほかに躁うつ病の治療に使われるリチウム剤において、副作用で乾癬症を発症した場合にイノシトールは効果があるとされています。

これはあくまでリチウム剤が原因となるものに限られるので、別の原因による乾癬症には効果がありません。

また乾癬症以外のリチウム剤の副作用についても効果は確認されていません。

それ以外でも、早産により生まれた未熟児の呼吸困難において、イノシトールを静脈注射して対処することもあるようです。

 

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効果が期待されているもの

医者

 

研究データにおいて“効果がない”と示唆しているものもあるため、期待はされているけれど効くとは言い切れないものについてもご紹介したいと思います。

イノシトールの今後の研究で、良い結果が出ることを祈りたいですね。

統合失調症

幻覚や妄想といった特徴のある統合失調症は、10代後半~30代にかけて多く見られます。

考えや行動にまとまりが見られず、対人関係や社会性において障害が発生し、日常生活に支障をきたしてしまいます。

幻覚・妄想などの症状から特別な病気に見られがちですが、100人に1人の割合で発症するとも言われていて、決して珍しい病気ではありません。

遺伝やストレス、その人のおかれている環境など様々な要因があるとされますが、ストレスによりドーパミンが過剰になり、脳の機能に支障が出ている状態なのではないかとされています。

 

アルツハイマー病

代表的な認知症と知られるアルツハイマー病は、60歳以上の高齢者に多い疾患です。

記憶力や思考能力が低下していくことで日常生活に支障をきたします。

アルツハイマー病も原因は脳に障害が起きていることとされ、脳が萎縮していくため、症状はゆっくりと進行していきます。

現時点での治療は、症状を悪化させないためのものが中心となっています。

 

自閉症(自閉症スペクトラム)

こちらもやはり脳の機能に問題があるために起こる疾患で、先天的なものとなっています。

他人とのコミュニケーション、集団行動などが苦手で、自分のこだわりが強すぎるため社会性に支障をきたしてしまいます。

知的障害を伴うタイプと、伴わないタイプがありますが、現時点で根本的な治療薬はありません。

ちなみに、アスペルガー症候群も自閉症の一つです。

イノシトールが自閉症の症状緩和や、治療に役立つかもしれないという可能性に期待したいですね。

 

うつ病

イノシトールを4週間にわたって摂取したところ、うつ病の症状が一時的に改善、しかしその後に悪化してしまったという研究があります。

うつ病も脳内のセロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質にエラーが起こっていることが原因の一つとされていますが、まだイノシトールで決定的な効果は示唆されていないようです。

 

その他に効果がある可能性があるもの

脂肪肝、動脈硬化

イノシトールというと、パニック障害や強迫性障害への効果より、“脂肪やコレステロールの流れを良くする”作用のほうが有名かもしれません。

脂肪の流れを良くすることで肝臓に脂肪が溜まってしまう脂肪肝を防ぐとされ、「高脂肪肝ビタミン」と呼ばれていることもあります。

また、コレステロールの流れを良くすることで動脈硬化を予防するとも言われていますが、これらに関してはまだ科学的な根拠が不十分です。

ですが、脂っこい食事を摂りがちな人、お酒をよく飲む人、健康診断でコレステロール値や体脂肪が気になる人などは、イノシトールを少し意識してみても良いのかもしれませんね。

 

抜け毛

イノシトールは私たちの体内の神経細胞に多く存在して、働いています。

その働きの中には、全身の神経に栄養を運ぶというものもあると言われており、頭皮に栄養を運ぶことで健康的な髪を維持してくれるのではないかと考えられています。

 

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イノシトールが多く含まれる食材

フルーツ

イノシトールを食事から摂取するなら、

 

  • オレンジ
  • スイカ
  • メロン
  • グレープフルーツ
  • モモ

 

などの果物を食べると良いでしょう。

また、サツマイモやトマト、米ぬかなど穀物の糠、グリーンピースなど豆類にもイノシトールは含まれています。

目安としては、オレンジなら1個でイノシトールを200~220mgほど。

健康維持のためならイノシトールを1日250~500mgほど摂ると良いとされているので、大体それで1日の半分量は摂れる計算ですね。

同じように、スイカなら1/8切れ、メロンなら100g、グレープフルーツなら1/2個でイノシトール200mgほどになります。

 

使用上の注意

イノシトールは成人が摂取する分には、ほとんどの場合で安全なようです。

欠乏症も過剰症も心配はないとされていますが、普通に食事から摂る以上の量をサプリメントから摂るという場合は少し注意しましょう。

特になんらかの病気の治療を受けている方は、必ず医師に相談するようにしてくださいね。

妊娠中の人

妊娠中、もしくは授乳期の女性がイノシトールを摂ることに関しては、安全が確立していませんのでご注意ください。

 

医薬品との相互作用

医薬品とイノシトールの併用についても解明されていません。薬を服用している人は、必ず医師や薬剤師に相談してからにしてくださいね。

 

ミネラルとの併用

果物や穀物といった植物に含まれるイノシトールは、リン酸エステル体(フィチン酸)として含まれていることもありますが、このフィチン酸がミネラルの吸収を妨げてしまうことがあるようです。

特に、カルシウム、亜鉛、鉄などの吸収を阻害してしまう可能性があるようなので、フィチン酸として摂取する場合にはご注意ください。

 

 

さいごに

ビタミン様物質と呼ばれるイノシトール。

オレンジやスイカなど、果物が好きな人にとっては意外と身近な成分だったのではないでしょうか。

イノシトールは私たちの筋肉や神経細胞にあって、脳の神経伝達に原因があるとされるパニック症候群や強迫神経症などの治療への効果が期待されています。

イノシトールの効果についてはまだ研究段階のものも多いですが、果物から摂取しておいても損はなさそうですね。

 

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【参考】
健康食品・サプリメント【成分】のすべて2017 ナチュラルメディシン・データベース