豆乳、おから、豆腐、納豆、枝豆、もやし、きな粉。大豆製品って本当にいろいろありますよね。

大豆と言えば、良質なたんぱく質が豊富で“畑の肉”とも言われますが、今回は「大豆イソフラボン」に注目したいと思います。

「なんとなく健康に良さそう」というイメージのある大豆ですが、たくさん食べればいいというものでもありません。

大豆イソフラボンの効果とともに、摂り過ぎるとどうなるのか、過剰摂取となってしまう量はどれくらいなのか見ていきたいと思います。

 

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大豆イソフラボンって?

はてな

 

大豆イソフラボンはポリフェノールの一種ですが、ポリフェノールと言えば、赤ワインとかチョコレートが有名ですよね。

大豆イソフラボンの最大の特徴は、「女性ホルモン(エストロゲン)とよく似た作用をする」ということ。

そのことから大豆イソフラボンは“植物性エストロゲン”とも呼ばれています。

女性ホルモンの減少によって引き起こされる更年期障害、それに骨粗しょう症などへの効果が期待されており、さらには美容面でも注目されています。

 

名前ですぐに分かりますが、大豆イソフラボンは大豆に多く含まれる栄養素です。

その中でも特に多いのは大豆の胚芽部分。豆にちょこんと付いている、これから芽になる部分のことですね。

また、大豆以外でも葛(クズ)、甘草(カンゾウ)、レッドクローバーなどマメ科の植物にもイソフラボンは含まれています。

ただし、これらに含まれるイソフラボンの効果は、大豆に含まれるものとはまた少し違ってきます。

大豆イソフラボンの種類

大豆イソフラボンには「グリコシド型イソフラボン」と「アグリコン型イソフラボン」があり、吸収力が違います。

ほとんどの大豆食品に含まれているのが「グリコシド型イソフラボン」で、まわりに糖がくっついている“大豆イソフラボン配糖体”というものです。

これを食べると腸内細菌によって糖がはがれ、「アグリコン型イソフラボン」となり、吸収性が高くなります。

つまり糖がくっついていると吸収性は低くなりますが、糖がはがれると吸収性が高くなるのです。

 

ほとんどの大豆食品はグリコシド型イソフラボンですが、みそや納豆といった伝統的な発酵食品には「アグリコン型イソフラボン」が多く含まれていると言われています。

さらに細かく種類を分けると、アグリコン型イソフラボンには「ダイゼイン」「ゲニステイン」「グリシテイン」の3つがあります。

この中で、作用が比較的穏やかで体に優しいと言われているのはダイゼインです。

含有量が多い大豆製品は?

大豆イソフラボンは、大豆の種類や加工方法などによっても含有量は違ってきます。

含有量が多いものから挙げていくと、

  • きな粉
  • 揚げ大豆
  • 大豆
  • 凍り豆腐
  • 納豆
  • 煮大豆
  • 味噌

となります。

また、同じ豆腐でも、絹豆腐より木綿豆腐のほうが大豆イソフラボンは多いとされています。

 

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大豆イソフラボンの効果と効能

医者 ポイント

 

では、大豆イソフラボンの効果・効能について見ていきましょう。

骨粗しょう症予防

大豆イソフラボンが、骨粗しょう症を予防するというデータは多くあります。

女性は閉経前後になるとエストロゲンの分泌が減少します。いわゆる更年期ですね。

エストロゲンには骨の中にカルシウムを留めておく働きがあるため、減少すると骨が脆くなり、骨粗しょう症となってしまうのです。

そのため、大豆イソフラボンの骨粗しょう症予防効果があるのは更年期前後、もしくはそれ以降の女性。

若い女性ではエストロゲンが足りているため、効果はないと言われています。

 

更年期症状

閉経前後になってエストロゲンの分泌が減ると、体にも心にも様々な症状が現れます。

更年期症状の代表的なものには、ほてり、のぼせ、発汗、冷え性、イライラ、抑うつなどがありますね。

大豆イソフラボンはその中の「ほてり(顔面紅潮)」を緩和する効果があると言われていますが、ほかの症状については、効果は確認されていません。

 

脂質異常症

大豆のたんぱく質には、総コレステロールと悪玉コレステロール(=LDLコレステロール)を、わずかに減少させる効果があるとされています。

コレステロールが気になる人は、食事で摂るたんぱく質の一部を大豆に置き換えてみてはいかがでしょう。

 

糖尿病

大豆製品は一部のデータを除いて、ほとんどで血糖値を下げることが示されています。

糖尿病ではなくても血糖値を下げる働きがあるので、日頃から食事に取り入れることは良いことでしょう。

 

糖尿病性腎症

糖尿病の三大合併症の一つに「糖尿病性腎症」があります。

大豆イソフラボンには、この糖尿病性腎症を予防したり、改善したりする可能性があるとされています。

腎疾患では、食事療法で低たんぱく食を勧められることが多く、動物性よりも植物性のたんぱく質(大豆など)が良いとされています。

食事療法に関しては医師と相談しながらとなりますが、上手く大豆を食事に取り入れたいですね。

 

乳がん

乳がんの原因の一つは、エストロゲンの過剰分泌にあると言います。

大豆イソフラボンはエストロゲンを補充するだけでなく、その量を調整してくれる作用もあるため、乳がんの発生リスクを減らしてくれるのではないかと期待されています。

実際に乳がんは大豆をあまり食べない欧米人に多く、大豆をよく食べるアジア人には少ないと言われています。

食文化と乳がんとの関係性は深そうです。

 

下痢

粉ミルクで下痢がひどい赤ちゃんは、大豆繊維を含む乳幼児用の調整粉乳にしてみると良いかもしれません。

牛乳などが原料となっているものと比べて、下痢の持続時間が減少したというデータがあります。

ただし下痢への効果は乳児に対するものなので、大人の下痢への効果は良く分かっていません。

 

糖ラクトース消化不良・乳糖負耐症

牛乳を飲むとお腹がゴロゴロしたり、下痢をする人がいますよね。

特にミルクしか飲まない赤ちゃんで目立ちます。

こちらも乳児を対象としたものですが、乳幼児用の調整粉乳(粉ミルク)を大豆主体のものに変えることで症状が緩和すると言われています。

 

赤ちゃんに大豆は大丈夫?

粉ミルクでお腹を壊しやすい赤ちゃんには、大豆主体の粉ミルクが良いと言いましたが、赤ちゃんっていつから大豆を食べられるのでしょう。

大豆製品によっても違いますが、豆腐など柔らかいものなら離乳食初期から大丈夫なものもあります。

豆乳なら、7~8か月から離乳食に混ぜて与えても良いようです。まずは無調整タイプのものから始めてみましょう。(*1)

 

ただし、ひどい牛乳アレルギーがある場合は大豆アレルギーも発症しやすいと言われているので、かかりつけの小児科医に相談することをおすすめします。

また粉ミルクに大豆主体のものを使うときは、必ず「乳児用」のものを使用すること。

それ以外のものだと赤ちゃん用に調整されていないため、安全とは言えませんのでご注意ください。

 

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効果の可能性があるもの

医者

 

データの信頼性はそこまでありませんが、効果があるかもしれないと言われているものもご紹介します。

前立腺がんの予防

今までご紹介したものは、ほとんどが女性や赤ちゃんを対象としたものでしたが、男性にも大豆イソフラボンの効果は期待できます。

前立腺がんは、男性ホルモンの過剰分泌が関係しているのではないかと言われています。

大豆イソフラボンを摂取することで女性ホルモンが増え、男性ホルモンが抑えられる可能性があり、前立腺がんの予防に繋がるのではないかと言われています。

摂取目安としては毎日コップ2杯の豆乳を飲むことなので、これなら続けられそうですね。

 

運動後の筋肉痛

筋肉痛の緩和や予防に対する有力なデータはありませんが、筋肉を作るのはたんぱく質なので、大豆からたんぱく質を摂取すること自体は良さそうです。

 

大腸がん

大腸がんの進行を抑える効果に関しては、研究は二分しているようです。

大腸がんの予防には規則正しい生活習慣が深く関係しているので、大豆だけに頼るのではなく、バランスの良い食事を心がけましょう。

 

関節リウマチ

関節リウマチによる、痛みや腫れの症状を改善するのではないかという研究もあります。

リウマチの治療をしていると、使っている薬(ステロイド)によって骨粗しょう症リスクが上がってしまうこともあるので、その予防として大豆イソフラボンを摂取するのも良いでしょう。

 

高血圧

高血圧の患者に大豆イソフラボンを摂取してもらったところ、最高血圧も最低血圧も下がったというデータがあります。

ただしこれは高血圧の人に限った話で血圧が正常の人では変化はなく、確定的なデータは出ていないのが実情です。

 

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過剰摂取の副作用

大豆イソフラボンにはいろいろ素敵な効果・効能があることが分かりましたが、摂り過ぎてしまうことで、かえって健康を害してしまう可能性もあります。

どのくらいだと過剰摂取になるのかは、この後ご紹介しますのでまずは副作用から見ていきましょう。

乳がん

効果・効能のところで大豆イソフラボンは乳がんのリスクを減らしますが、一方でリスクが上がってしまう可能性も示唆されています。

そうなる原因は摂取量にあるのではないかと考えられています。

乳がんにはエストロゲンが深く関係していますが、大豆イソフラボンを大量に摂取することで濃度が高くなりすぎると、がんが発達してしまう可能性があるようです。

乳がん予防だと言って、大豆を大量に食べるのは危険と判断しても良いでしょう。

 

子宮内膜がん

子宮内膜がんは20~40代の女性に多いがんです。

濃縮大豆イソフラボンのサプリメントから摂取することで、リスクが上がるとされています。

若い女性でサプリメントなどを使用するときは気を付けたほうが良いのかもしれません。

 

アレルギー

食物アレルギーの一つに「大豆アレルギー」があります。

気を付けたいのは、

  • ひどい牛乳アレルギーを持っている人
  • 花粉症の人
  • 気管支喘息の人

 

ですが、サプリメントなどで長期的に大量の大豆イソフラボンを摂取している人も可能性は高くなります。

症状としては、かゆみ、湿疹、腹痛、嘔吐、下痢、喘息など。

また、アナフィラキシーショックといって呼吸困難や意識障害など重篤な症状が発生するケースもあるため、症状の変化には十分に注意しましょう。

また大豆製品の中でも、豆乳(または大豆飲料)は吸収力が90%と非常に高いため、普段は大丈夫だという人でもアレルギー症状が出ることがありますので気を付けてください。

 

甲状腺機能低下症

甲状腺は喉のあたりにある器官で、甲状腺ホルモンを分泌し、代謝などの大事な機能を支えています。

甲状腺機能低下症は、この甲状腺ホルモンの分泌が減少して、様々な身体機能が低下してしまう疾患です。

大豆イソフラボンには、甲状腺機能低下症の症状を悪化させてしまう可能性があるため注意してください。

 

腎疾患

大豆製品には、腎結石になってしまうシュウ酸塩が多く含まれているため、腎結石のリスクが上がるとされています。

重い腎疾患を患っている人だと、大豆に含まれる化学物質を処理しきれず、植物性エストロゲンの濃度が高くなってしまう危険性があります。

 

膀胱がん

大豆イソフラボンは、膀胱がんのリスクも上げる可能性があります。

膀胱がんだけではありませんが、がんの家族歴がある人は摂取に注意しなければなりませんね。

 

血糖値の低下

大豆製品は血糖値を下げる可能性があるため、糖尿病予防にも良いとされています。

一方で糖尿病の治療で血糖値を下げる薬を服用している人は、血糖値が下がりすぎてしまうリスクがあります。

治療中の人は、薬との併用に気を付けて、併用する場合は常に血糖値に気を付けておくようにしましょう。

 

妊娠中の服用

妊婦さんでも普通の食事で摂る分には問題ありませんが、それ以上に、たとえばサプリメントなどで上乗せするのは危険です。

過剰摂取は、胎児の発達に支障をきたす可能性があります。

お腹の中の赤ちゃんは、お母さんから直接栄養をもらっている状態なので、お母さんが摂取量に気を付けてあげてくださいね。

 

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効果的で安全な摂取量とは?

 

1日あたり70~75mgが、大豆イソフラボンの安全な摂取量の上限です。

食事からの大豆イソフラボンの量は40mgほどなので、普通に食べていれば問題ありませんし、毎日継続的に超え続けなければ問題ありません。

では、サプリメントはどうでしょう。普段の食事にサプリメントなどで上乗せする場合、上限は1日あたり30mgまでとなっています。

これは「食事で70mg+サプリメントで30mg」ということではなく、「食事で40mg+サプリメントで30mg」と、あくまで1日あたりの上限70~75mgを超えない範囲で、ということなのでご注意くださいね。

きな粉を大さじ1

では、実際に普段の食事でどのくらいの大豆イソフラボンを摂取できているのでしょう。

大豆イソフラボンの含有量が多い「きな粉」で見てみると、アグリコン型イソフラボンとして100gあたり266mgほどが含まれています。

きな粉は大さじ1でおよそ7gなので、計算していくと、それで19mgほどのアグリコン型イソフラボンが含まれていることになります。

つまりは、きな粉を大さじ1食べれば、1日あたりの上限量の1/3~1/4ほどが摂れることになるのです。

苦手でない人なら、きな粉は大豆イソフラボンを手軽に摂取できる食材というわけです。

 

きな粉以外で見てみると、

  • 豆腐なら半丁で1日あたりの上限量の半分ほど
  • 納豆なら1パックで1日あたりの上限量の半分ほど

が摂取できる計算になります。ぜひ参考にしてみてください。

 

妊婦、胎児、乳幼児、小児の上乗せ摂取はダメ

大豆イソフラボンは、食事以外で1日あたり30mgまでの上乗せ摂取が認められています。

ただし、妊婦さんとお腹の中の赤ちゃん、乳幼児、小児(15歳以下の子供)に関しては、上乗せNGとなっていますのでご注意ください。

大豆イソフラボンには「トポイソメラーゼⅡ阻害作用」というものがあります。

 

トポイソメラーゼⅡにはDNAを正常に保つ作用があるのですが、それが阻害されると、遺伝子に異常が出てしまいます。

抗がん剤ではこの作用を利用して“トポイソメラーゼⅡ阻害薬”として治療に使っていますが、白血病を誘発する危険性もあるとしています。

お腹の中に赤ちゃんのいる妊婦さんや乳幼児、小児に対しては安全性が確立していないため、上乗せしてはいけないとされています。

 

 

さいごに

大豆製品は種類がいろいろあって、食事にも取り入れやすいのが嬉しいですね。

 

大豆イソフラボンの1日あたりの摂取量上限は70~75mg。

サプリメントなどで大豆イソフラボンを摂取している人も、食事と合わせてこの摂取量をオーバーしないように気を付けましょう。

そして、妊婦さんや乳幼児では安全性が確立していない面も多いので、摂取にあたっては十分注意するようにしてくださいね。

 

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【参考】
農林水産省「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」
食品安全委員会「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」
「豆乳を飲ませるのはいつから?」森乳コミュニケーション株式会社
Dietary isoflavones may protect against prostate cancer in Japanese men.(PMID: 17634273)
健康食品・サプリメント【成分】のすべて2017 ナチュラルメディシン・データベース