体が重だるくて動くのが億劫だったり、1日中疲れていたり。

一見すると軽い風邪や体調不良にも思える症状ですが、実は肝臓が悲鳴を上げているサインなのかもしれません。

体がだるい時に、肝臓ではどのような異変が起こっているのか見ていきましょう。

 

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肝臓はどんな臓器?

肝臓の役割

肝臓というと、お酒を飲んだ時に活躍してくれる臓器という印象が強いですよね。

肝臓は500以上もの役割を担うため、人間の体の中で一番大きな臓器となっています。

脂肪の消化や吸収に使われる胆汁を作ったり、糖やたんぱく質を変換させて、必要な分だけ身体に送ったり。

もちろんアルコールを始めとする、老廃物や薬物などの有害物質を分解する働きも持っています。

 

肝臓の負担になるもの

たくさんの役割を持っている肝臓は、生活習慣の影響をとても受けやすくなっています。

特に刺激の強いものや脂っぽいもの、添加物の多い食事などは肝臓に負担をかけてしまいます。

暴飲暴食や、夜食などの不規則な時間の食事も良くありませんよね。

 

ちょっと意外なところだと、あずきや柿には、肝臓を冷やしてしまう作用があるそう。

過度の飲酒や喫煙、薬物の過剰摂取も、肝臓にとっては負担です。

ほかにも睡眠不足や運動不足、ストレスなどが積み重なると、肝臓は疲れ、弱ってしまいます。

 

肝機能が低下すると

肝臓は別名「沈黙の臓器」。異常が起こっていても、自覚症状が分かりづらいため、かなり悪くなるまで気づかないということもよくあります。

肝機能が低下している時に見られる症状には、以下のようなものがあります。

 

  • 全身の倦怠感(体がだるい、疲れやすい)
  • 食欲の低下
  • 微熱
  • 皮膚のかゆみ
  • 黄疸(肌が黄色っぽくなる)

 

正直なところ、これらの症状が見られても「風邪でもひいたかな?」くらいで済ませてしまいますよね。

注目したいのは黄疸。

風邪のような症状に加え、肌が黄色っぽく見える場合には、肝機能の低下を疑って病院を受診しましょう。

 

肝機能が低下していると必ずと言っていいほど、体がだるいという症状が出ます。

これは根本的な原因に、睡眠不足やストレスなどの生活習慣の乱れが関係しているため。

また、肝機能低下により、体が十分なエネルギーを作り出せなくなるためだと言われています。

 

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体がだるい時に考えられる肝臓の病気

では次に、肝機能が低下している時に考えられる病気について見ていきましょう。

急性肝炎・慢性肝炎

肝臓の病気でまず考えられるのが、急性肝炎です。

肝炎とは、何らかの原因で肝臓が炎症を起こしている状態のこと。

よく「急性肝炎」「慢性肝炎」なんて聞きますが、その違いは炎症を起こしている期間です。

 

肝炎が6か月以上続いている場合は慢性肝炎。

急性肝炎を発症して、そのまま慢性肝炎となるケースも多くあります。

 

肝硬変

もう一つ注意したいのは、肝硬変。

肝臓が小さく、硬くなってしまうもので、慢性肝炎から進行することも多くなっています。

初期症状を見逃し放置してしまうと、次々に悪化していき、命の危険にさらされてしまいます。

 

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急性肝炎・慢性肝炎って?

ウイルス性肝炎

急性肝炎を引き起こす原因の90%は、ウイルス感染によるものです。

B型肝炎やC型肝炎という言葉はよく耳にしますよね。

 

肝炎の原因となるウイルスには、A、B、C、D、Eの5種類があります。

特に多いのはA型とB型で、割合はそれぞれ30%。

次いで多いのはC型で10%となっています。

 

A型肝炎ウイルス

原因は、ウイルスに汚染された水や食物を食べることによる、経口感染です。

気を付けたいのは、衛生面に不安の残る発展途上国などでの飲食です。

感染対策としては、ウイルスに汚染されたものは食べないこと。

ウイルスは熱に弱いので、十分に加熱調理することが求められます。

 

しかし、A型肝炎ウイルスはそこまで心配しなくても大丈夫でしょう。

2か月以内に自然治癒することがほとんどで、慢性化はしないとされています。

中には、感染しても全く症状が出ずに治ってしまう人もいます。

 

B型肝炎ウイルス

B型肝炎ウイルスは、感染者の血液や体液を介した濃密接触が原因です。

主な感染経路は、性交渉や、B型肝炎ウイルスに感染した妊婦から胎児へとうつる母子感染。

以前は輸血の際に感染してしまうことが多かったのですが、現在では、献血や輸血の際にチェックをしているため、その数は激減しています。

こちらも適切な処置で完治することがほとんどなのですが、1~2%の割合で慢性化することがあります。

 

慢性肝炎になると、肝硬変や肝がんへと発展するリスクが高くなってしまい、最悪の場合は死に至ることも。

特にお母さんからお腹の中で感染した赤ちゃんや、乳幼児期に感染した子供は注意が必要です。

母子感染に関しては予防策もあるので、感染の可能性のある妊婦さんは必ず検査を受けてくださいね。

 

C型肝炎ウイルス

C型肝炎ウイルスの場合、感染経路の90%を占めるのは輸血です。

注射針などの医療器具の消毒が十分に行われていないことが原因。

C型肝炎ウイルスはB型よりも感染力が弱いため、性交渉などの濃密接触でも感染することは稀だと言われています。

しかしC型肝炎ウイルスは感染すると80%の割合で慢性化し、肝硬変や肝がんを発症するリスクも高くなってしまいます。

 

劇症肝炎

ウイルス性の急性肝炎から、さらに「劇症肝炎」へと悪化することがあります。

劇症肝炎へと悪化するのは、全体の1%以下。

しかし肝臓移植が必要になるほか、高確率で1週間~10日以内に死亡に至ってしまうという、恐ろしい病気でもあります。

黄疸と皮下出血、意識障害などが見られる場合には、速やかに医師の診察を受けなくてはいけません。

 

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症状

急性肝炎の症状は、やはり軽い風邪のような症状から始まります。

  • 発熱
  • のどの痛み
  • 全身の倦怠感
  • 食欲不振
  • 吐き気、嘔吐
  • 腹痛、下痢

 

ここで急性肝炎を疑いたいのは「黄疸」と「褐色尿」があるかどうか。

褐色尿は茶色っぽい尿で、症状が進行していくと黒っぽい色へと変化していきます。

これらの症状が見られる場合には、内科または消化器科を受診しましょう。

 

治療

急性肝炎は数か月で自然治癒することも多いため、治療の基本は安静にすること。

黄疸などの症状がある場合には入院となることが多く、食欲がなければ点滴での栄養補給となります。

安静とともに気を付けなくてはいけないのが食事です。

 

適切な栄養バランスと、摂取カロリー(1日1800kcal)が求められます。

栄養は十分に摂ったほうが良いのですが、急性期は肝臓に負担のかかる高たんぱくな食事は控え、エネルギーとなる糖や、ビタミンなどの栄養素をしっかり摂るようにしましょう。

 

慢性肝炎の治療

慢性肝炎へと進行してしまった場合は、上記の治療法に薬物治療を加えます。

B型肝炎の場合は、抗ウイルス薬(インターフェロン製剤)と、炎症を抑える薬剤。

C型肝炎の場合は、抗ウイルス薬(インターフェロン製剤)を主流で使っていきます。

ウイルス性肝炎に対して効果が期待できるインターフェロン製剤ですが、効く人と効かない人がいるため、効かない場合は他の薬剤の使用に切り替えることもあります。

 

非ウイルス性肝炎

急性肝炎の90%がウイルス感染によるものですが、残りの10%は「アルコール性肝炎」です。

アルコールの過剰摂取によるもので、B型・C型肝炎ウイルスを持っていると悪化しやすくなってしまいます。

 

肝硬変の原因となることも多く、治療は禁酒が絶対です。

もう一つは「薬物性肝炎」で、ほとんどが薬の副作用によるもの。

それ以外では、安全性の確立していない薬物を過剰摂取することによる中毒が原因となることもあります。

 

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肝硬変

ウイルス性肝炎の慢性化や、アルコール性肝炎が原因となることもある肝硬変。

肝臓が炎症や壊死、再生を繰り返すことにより細胞が壊れてしまった状態のことで、たんぱく質の一種が増殖して肝臓を包み込んでしまいます。

その結果、肝臓が小さく硬くなり、十分に機能しなくなってしまうのです。

症状

肝硬変も、最初は自覚症状がほとんど見られません。

その後、以下のような症状が見られます。

 

  • 倦怠感
  • 体重減少
  • 手のひらが赤黒くなる
  • くも状血管拡張(胸から肩にかけて赤い斑点が出る)

 

さらに進行すると、黄疸や腹水、足のむくみなどが見られ、最終的には肝性脳症を発症して、意識消失となります。

 

治療

肝硬変ではまず、禁酒が絶対条件となります。

また食事療法では、栄養バランスや摂取カロリーに気を付けるほか、それぞれの病態に応じた食事制限を行います。

これは自分で判断せず、医師や管理栄養士の食事指導に従うようにしてください。

 

薬剤治療では、B型・C型肝炎ウイルスを持っている人は、そのまま抗ウイルス薬などの投与を続けます。

腹水やむくみなどの症状が見られる場合は、利尿薬を使用しますが、改善されないようなら、外科処置で溜まった水を抜きます。

これらの治療で改善が望めない場合には、肝臓移植となることも考えなくてはいけません。

 

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早めの対策を

検査

肝臓の機能が低下していても、これといった症状がないため病院に行くタイミングを見失いがち。

しかし急性肝炎の時点で治療をすれば、慢性化や肝硬変などを防ぐことが出来るかもしれません。

風邪のような症状と、肌が黄色っぽくなる黄疸があるようなら「念のため」という気持ちでも病院を受診しましょう。

特に、数か月の間に血液や体液に触れたなど、思い当たることがあれば要注意です。

検査

肝臓の検査は、血液検査になります。

まずは一般的な血液検査を行い、肝臓の機能低下が起こっていないかを見ます。

もし肝機能低下が見られるようなら、特異的血液検査というもので、どのウイルスに感染しているのかなどを調べ、原因と病気の特定を行います。

 

自治体の検査

ウイルス感染者の血液や体液に接触したかもしれないという場合や、今までに一度も肝臓の検査をしたことがないという場合には、一度、自治体の検査を受けることをおすすめします。

ウイルス感染の検査は血液検査で、1週間~数週間で結果が出ます。

自治体によりますが、ほとんどの所で、無料で受けることができます。

まずはお住まいの自治体の保健所に問い合わせてみましょう。ネットでも各市区町村の情報が見られるので、検索してみても良いかもしれません。

献血に関しても、この検査で感染が認められないと分かってから臨んだほうが安心ですね。

 

ワクチン接種

B型肝炎ウイルスに関しては、感染予防のワクチンがあります。

ただし接種を受けられるのは、家族など身近にB型肝炎の患者がいる場合や、感染リスクの高い医療従事者や消防隊員などに限られます。

B型肝炎ワクチンは3回に分けて接種することで、およそ15年間にわたって、90%の割合で感染予防の効果を発揮してくれます。

 

参考:厚生労働省 「肝炎総合対策の推進」

 

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