胸の痛みというと、心臓の病気を疑って心配になってしまうと思います。

中には命に関わるものもありますし、女性特有の病気ということもあります。

右胸に痛みや違和感がある場合に、考えられる病気にはどのようなものがあるのでしょうか。

 

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右胸の痛みの種類

胸 痛い

胸の痛みにはさまざまな種類のものがあります。

痛む場所が右側だと肋骨や肺だけではなく、心臓や胆嚢などの病気が隠れている場合もあります。

 

  • チクチク
  • ギュッーと締め付けられる
  • 息苦しい
  • ズキズキ

 

これらのうち、急いで病院に行かなければいけない痛みなのかを判断します。

あまり心配しなくても良い痛みは以下の2つですが、激しい胸の痛みがある場合は急を要する病気の可能性もあるため、すぐに検査することをおすすめします。

 

  • 痛みの範囲がピンポイントで示せるほど、限定されている
  • 痛みが途切れていて、痛まない時期がある

 

 

運動骨格器系

肋骨

肋骨の疲労骨折

肋骨は左右に12対、24本の骨で構成され、その内側には心臓や肺といった重要な臓器があります。

肋骨の骨折における痛みは、骨折した部分に限られた、局所的な痛みであることが多くなっています。

 

  • 局所的な痛み
  • 骨折部分に内出血や腫れがある
  • 圧迫すると痛みがある
  • 軽く押すと軋轢音(ギシギシと軋む音)が聞こえることがある

 

肋骨の骨折は、交通事故や高所からの落下などの強い力がかかった時に多く、スポーツや重労働などで負荷がかかる動きをくり返している場合にも発生しやすくなっています。

また、注意したいのは骨が脆くなっている高齢者。

疲労骨折しやすい状態のため、咳やくしゃみが続いただけでヒビが入ることもあります。

 

もし頻繁に肋骨の疲労骨折をくり返すようなら、骨粗しょう症などの骨が脆くなる病気が隠れている可能性もあるので、詳しい検査を受ける必要も出てきます。

肋骨を骨折したら湿布や鎮痛剤などで対処しつつ、圧迫固定すると数週間で軽快することが多いです。

ただし骨折が大きい場合には、心臓や肺などに損傷が出てしまうこともあるので十分な注意が必要です。

 

肋間筋損傷

肋間筋とは肋骨の間にある筋肉のことで、呼吸をしたときに胸やお腹が膨らむのは、肋間筋があるからです。

肋間筋は呼吸と深く関わっているため、損傷すると息をしただけで痛むこともあります。

 

  • 呼吸、とくに深呼吸をすると痛い
  • 体をひねる動作をすると痛い
  • 寝返りをうつと痛い
  • 咳やくしゃみをしたタイミングで痛む

 

損傷の原因は、外側から強い圧力がかかったこと。

とくに身体をひねる動作に弱く、ゴルフでスイングをしたときのような動きで傷めることが多くなっています。

ただ肋間筋損傷は骨折ではないため、安静にしていると3週間以内には軽快することが多いです。

 

急性期は冷やすことも効果的ですが、お腹を冷やし過ぎないように気を付けましょう。

また肋骨の骨折と同じように、固定帯で圧迫固定することも有効です。

筋肉の損傷には鍼灸治療も効果があるといわれています。

 

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呼吸器系

肺

気胸

自然気胸は若い痩せ型の男性に多く、肺の一部に穴が開くことで肺が縮み、痛みとなって現れるものです。

 

  • 片側の胸が痛い
  • 突然の胸の痛み
  • 乾いた咳
  • 呼吸困難
  • 痛い側を下に横になると楽になる

 

運動中や、飛行機やダイビングで肺の圧力が変わった時に起こりやすいですが、安静にしていてもなることがあります。

特に原因がないのに穴が開く場合は、突発性(自然)気胸と呼ばれ、放置していても勝手に穴が塞がることがほとんどです。

ただし深刻な場合は不整脈や血圧低下を起こし、危険なこともあるのですぐに病院を受診してください。

 

呼吸器科や内科、外科などでレントゲンの画像診断を行います。

気胸は再発しやすいため、何度も繰り返す場合は医師の診察を受けたほうが良いでしょう。

 

胸膜炎

胸膜炎は、肺を覆っている2枚の薄い膜に炎症が起こり、胸水がたまる病気です。

結核や細菌などの感染症や、悪性腫瘍が原因として多いといわれています。

 

  • 片側の胸が痛い
  • 深く息を吸うと痛みが増す
  • 咳をすると痛みが増す
  • 痛い方の胸を下にして、横になると楽になる

 

症状は自然気胸に似ていますが、初期症状としては胸痛が多く、深呼吸や咳でひどくなるのが特徴です。

また上にあげた症状以外にも発熱、痰、血の混じった痰、体重減少などがあります。

病院では医師の聴打診、レントゲン検査、CT検査、肋骨の間に細い針を刺して胸水を採取する胸膜炎検査などで特定します。

 

肺塞栓症

足の静脈に血栓ができ、肺動脈が詰まることで血液の流れがとだえてしまうのが肺塞栓症。

いわゆるエコノミー症候群やロングフライト症候群ともいわれ、長時間横になっていたり座っていたりした場合に起こりやすくなります。

 

手術後で寝たきりの人や、心不全や心臓弁膜症の人、また経口避妊薬を服用しているとリスクが高まることも。

突然の痛みを肋骨の下辺りに感じ、少し歩くだけでひどい息切れが出て失神することもあります。

すぐに救急病院を受診し、胸部造影CT検査によって検査する必要があります。

 

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循環器系

心臓

心筋梗塞

突然死の原因として恐れられている心筋梗塞は、左胸が痛くなりそうなイメージですよね。

しかし痛む場所を触っても痛くない場合は放散痛の可能性があり、右胸や右肩、右腕などに痛みが出ることがあります。

心筋梗塞のうち激痛が出る典型的なものは25%しかなく、男性や75歳未満の人で多いといわれています。

 

それ以外は非典型的な心筋梗塞で、女性の心筋梗塞の3~4割は胸の痛みがないため、早期に見分けるのが難しいことがあります。

また神経が鈍感になっている糖尿病患者や、85歳以上の高齢者も非典型的が多いようです。

 

非典型的な心筋梗塞では、以下のような症状が出ることがあります。

 

  • 手のひらサイズの圧迫痛
  • 指で示せるほど局所的ではない
  • 鈍い痛みで、刺されるような鋭い痛みではない
  • 喉が詰まったような、何かが喉につっかえたような感じ
  • 象が胸に乗ったような感じ
  • 肩や腕、喉の周り、胃やみぞおち、背中が痛い
  • 顎や歯が痛くて、浮くような感じ
  • 両肩や両腕がだるくて痛いが、腕を上げることができる
  • 吐き気や嘔吐がある
  • 全身がだるい
  • 息切れがある
  • 夜眠れない

 

これらの症状に、冷や汗を伴うと要注意です。

兆候があれば、すぐに検査をすることをおすすめします。

 

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大動脈解離

右胸に引き裂かれるような激痛がある時には、大動脈解離の可能性があります。

心臓からの血液を送る動脈の中で、最も太い大動脈の内側に亀裂が入ってしまうもので、高血圧の人が発症する可能性が高いと言われています。

 

突然死の危険もある恐ろしい病気で、胸の激しい痛みと共に手足の痺れが出ている場合にはすぐに病院を受診して下さい。

亀裂が広がると、それに伴って首から頭、背中や腹部へと痛みが広がることもあります。

治療が遅れると致死率が高くなりますが、2週間以内に適切な治療や手術を受ければ高確率で助かる病気です。

 

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消化器系

左の脇腹 痛い

逆流性食道炎

心臓の痛みと間違うことも多いですが、胃酸が食道へ逆流して胸やけや不快感を起こし、食道粘膜を傷付けるものが逆流性食道炎です。

 

  • 睡眠中や、特に明け方になると胃酸がこみ上げてくる
  • 口の中に酸っぱいものが上がってくる
  • げっぷや吐き気
  • 胸やみぞおちが痛い
  • 肩甲骨の内側が痛い
  • 慢性の咽頭痛
  • 慢性の咳
  • 食後にうつむきになると逆流する

 

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胆石・胆嚢炎

右腹部から右胸にかけての激しい痛みがある場合には、胆嚢の異常が疑われます。

胆嚢は肝臓の下にある臓器で、脂肪分を溶かす胆汁を生成する働きを持っています。

胆嚢の異常というと胆石が有名ですが、そこからさらに胆嚢炎を引き起こすこともあるため注意が必要です。

胆石

結石の多くはコレステロールが固まったもので、脂肪分の多い食事、不規則な食生活、肥満などが引き金となります。

結石が胆嚢にあると自覚症状がないことも多く、あっても胃のあたりの違和感だけということも多いです。

しかし胆嚢から十二指腸へと繋がる胆管に石が詰まると、腹痛や発熱などの症状が現れます。

 

胆石の代表的な症状は、さしこむような痛みの「疝痛発作」

脂肪分を多く摂取したり暴飲暴食をしたりすると、胆汁を分泌するために胆嚢が強く収縮するため、そのタイミングで激しい痛みに襲われます。

痛みは右寄りの上腹部で起こるため、しばしば胸の痛みとして認識されます。

 

胆石は症状がないようなら経過観察となることもあります。

しかし、症状があれば胆石を溶解、粉砕、内視鏡、腹腔鏡などの方法で除去する必要があります。

放置して胆嚢炎や腹膜炎を合併すると命に関わることもあり、胆嚢の摘出が必要になることもあるので、症状がなくても病院で診てもらうようにしましょう。

 

胆嚢炎

胆石が胆管に詰まると胆汁の流れがストップし、そこに大腸菌などの細菌が感染することで炎症が起こります。

胆嚢炎の腹痛は、右寄りの肋骨~みぞおちにかけて、持続的な痛みがあります。

痛みは鈍痛から激痛まで人それぞれですが、次第に強くなっていくことが特徴。

痛みのほかに、黄疸や発熱などが見られることもあり、さらに炎症が広がって腹膜にまで及ぶと「腹膜炎」を合併することもあります。

 

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泌尿器系

腎臓

腎臓結石

胆嚢だけではなく、腎臓にも石はできることがあります。

腎臓でできた石は尿管や膀胱へと下りてくることもあり、小さければ尿と一緒に排出されることもあります。

 

  • 脇腹や背中にさしこむような激痛がある
  • 尿が濁る
  • 血尿が出る
  • 下腹部に痛みを感じる
  • 尿が出にくかったり、残尿感があるなどの排尿障害がある

 

特徴的な症状としては、胆石と同じで「疝痛発作」と呼ばれる激痛です。

しかし、石のある場所が腎臓(腎盂や腎杯など)の場合、自覚症状がほとんどなくて鈍痛や違和感程度しかないこともあります。

石が小さいと尿管を下りていくため、痛みの場所もどんどん下へと移動していきます。

 

結石が腎臓にあれば「腎臓結石」と呼ばれますが、移動すれば「尿管結石」や「膀胱結石」など呼び方が変わってきます。

それらを総称して「尿路結石」と呼ぶため、この病名で知っている人も多いのではないでしょうか。

結石の正体はカルシウムなどの成分が固まったもの。

 

どうして結石ができるのかは不明ですが、食生活の乱れや糖尿病、肥満、もしくは体質などが関係しているとも言われています。

膀胱結石は再発率も高いため、原因となる生活習慣を正しつつ、水分をしっかり摂るように心がけることが大切です。

石が小さければ自然に排出されることもありますが、大きいと腎臓で止まって腎機能障害を起こすこともあるため、一度は泌尿器科で診てもらうようにしてくださいね。

 

 

その他

はてな

肋軟骨炎

肋軟骨炎は、肋骨から肋軟骨接合部に、圧迫されるような鋭い痛みを感じるもの。

痛みは短時間で終わることが普通ですが、鈍痛が続くこともあり、体を動かしたり深呼吸をしたりすると痛みます。

胸痛を訴える方の3割近くが肋軟骨炎だという報告もありますが、あまり知られている疾患ではありません。

 

片側の2か所以上に起こることが多く、胸郭が変化する時期の若い女性に多いとされています。

肋骨の第1、2軟骨結合部に多く現れ、胸の真ん中から乳房内側の上部にある第2~5肋軟骨でも起こります。

炎症によって腫れて赤くなったり、熱をもったりする場合はティーツェ症候群といいますが、自然に治ることが多いとされています。

原因はよく分かっていませんが女性ホルモンの影響だともいわれ、非ステロイド性抗炎症薬や市販の貼り薬が効くことがあるようです。

 

肋間神経痛

肋間神経痛は、肋骨に沿っている帯状の神経が、何らかの原因で痛むことで起こります。

 

  • 片側の胸が痛い
  • 突然数秒間、チクチクと電気が走るような痛み
  • 痛みのない時がある
  • 手の平で圧迫した時に痛みが強くなる
  • 片側だけ痛い

 

くしゃみや咳をした時や、息を吸い込んだ時の刺激でも痛むこともあり、病院で検査をしても原因不明であることが多いです。

帯状疱疹が原因になっていることもあり、肋間神経痛があらわれた数日後に発疹が出てきます。

肋間神経痛の可能性が高ければ様子をみてもよいですが、痛みが引かないときは神経内科や整形外科を受診しましょう。

神経痛用の痛み止めで症状を緩和します。

 

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女性特有のもの

乳腺の詰まり

出産後、胸にチクチクとした痛みがあるようなら、乳腺の詰まりが考えられます。

これは授乳前後にマッサージをしてほぐしたり、脂肪分の少ない食事に切り替えることで改善されます。

しかし乳腺が腫れ、体内に細菌が侵入すると乳腺炎になってしまう可能性もあります。

水分を多めにとって、早い段階から解消していくことが大切です。

 

月経前症候群

生理時期の前後にも胸が張って痛くなることがあります。

これは乳腺の発達を促すプロゲステロンという女性ホルモンの働きによるもの。

イライラや腰痛、腹痛を伴う月経前症候群(PMS)でホルモンバランスが乱れやすい人に強く起こります。

 

生理が終われば落ち着いてくるので、生理期間中はお風呂でリラックスするなどして、身体に無理が積み重ならないようにしましょう。

規則正しい生活とストレス軽減を意識して、ホルモンバランスの乱れを抑えることが大切です。

 

悪性腫瘍

胸に痛みを感じるのは乳がんと肺がんですが、初期に感じることはありません。

乳がんでは、胸に痛みを感じる人は全体の1割ほどですが、痛みがあるから乳がんではないとは言い切れません。

定期的に検診を受けることと、しこりの有無などのセルフチェックが大切です。

肺がんでは、血の混じった痰や1か月以上の激しい空咳などの症状が見られることがあります。

 

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さいごに

今回ご紹介した病気に共通して言えることは、生活習慣の改善である程度は防げるということです。

過度のストレスから命に関わるような病気になってしまっては悔やんでも悔やみきれませんよね。

日々の習慣で予防できることは予防し、少しでも異変を感じたら速やかに医療機関を受診しましょう。

右胸に痛みを感じた時、病気によって診療科が違いますが、分からなければかかりつけの内科で相談しても良いでしょう。

 

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【参考文献】
「逆引き みんなの医学書」(祥伝社)
「年間2万人が訪れるER(救急)医が教える医者でも間違える病気・ケガ・薬の新常識」(角川書店)